【本の紹介(ほんの しょうかい)】『コミック版(こみっくばん) 世界の伝記(せかいの でんき)』『夜間中学(やかんちゅうがく)へようこそ 漫画(まんが)』
《ドレミ》
今回は漫画(コミック)です。日本語を勉強中の生徒さんによいのではないかと思い選択しました。ルビの付いている漫画にしました。
コミック版『世界の伝記』 ポプラ社 1~46巻まで刊行済み 漫画家と監修者は各巻により異なります
私がこのシリーズを推薦する一番大きな理由は、世界の偉人伝というと、その登場人物は今まで多くが男性でした。しかしこのシリーズでは46名中20名の女性の偉人たちを取り上げています。
2番目の理由は、偉人としては海外では有名であっても、日本では、あまり取り上げられていなかった人たちが含まれていることです。
3番目はどの巻にも監修者がいて史実にできるだけ忠実に書かれていることです。その例を少し挙げます。34巻「マイヤ・プリセツカヤ」ロシア・ボリショイ劇場のプリマドンナ。45巻「エメリン・バンクハースト」イギリスの女性参政権獲得に尽力した人。33巻「ルイ・ブライユ」アルファベットを6つの点で表す、点字を作った人。41巻「メアリー・アニング」200年前のイギリスの女性化石ハンター。
上記で紹介した中から選びました。
41巻『メアリー・アニング』コミック版世界の伝記より ポプラ社 漫画/北神 諒 監修/矢島道子 2018年
日本で、メアリー・アニングを知っている人がどのくらいいるかと思いますが、世界の偉人に選ばれたのですからそれに値する功績があった人物です。
200年ほど前のイギリス南部の海辺の町で育ったメアリーは亡き父に代わり、家族を養うために海岸で化石を発掘して売るという仕事を始めました。1810年10歳の頃から始めた仕事で、発掘した化石は、魚竜の「イクチオサウルス」、首長竜の「プレシオサウルス」などの全身骨格を次々と発見しました。当時は女性の身分が低く、学問の世界で認められることはなく、化石販売業者としか見なされませんでしたが、死の直前にロンドンの地質学会から名誉会員に推薦されました。
『夜間中学へようこそ』(漫画) 原作/山本悦子 漫画/沢根千尋 株式会社双葉社 2019年
戦争・戦後の混乱期に、ほとんど学校に行くことができなかった、沢田幸さんが76歳になって夜間中学へ通うことを決心した話です。学校生活での経験は個性豊かな友達を得ることによって、人生をやり直すことにもつながっていきます。孫娘からの視点で物語が進行していきます。
今の千葉の夜間中学の現状とは少し違いますが、学びたいという姿勢の大切さがわかります。